行列の先にあるこだわり
最近、日本に訪れる海外旅行者が急激に増えています。
日本を訪れる理由として、忍者やサムライをはじめとした世界に類を見ない独自の文化に興味を覚える人が多いようです。
日本人なら当然のことと思える事柄も、まったく異なる文化圏から訪れた人々の目から見れば驚くことばかりなのです。
それは我々も同様で、一歩国外へ出てみるとその国独自の風習や文化に新鮮な感動を覚えることもあれば、不思議な光景に映ることもあるでしょう。
そんな海外旅行者が日本を訪れて不思議だと思うことのひとつに、「行列」が挙げられるそうです。
日本のイメージとして通勤時の満員電車の光景はもはや世界で周知されているようですが、通りを歩くと至るところで目にする長蛇の列を成している光景には驚きを隠せないようです。
もちろん日本以外の国でもお店の前や美術館、コンサート会場などの入場前に列を作っている光景はよく目にします。
しかし言われてみれば、日本のように通りの様々な場所で見かけることは少ないかもしれません。
特に日本人は行列に整然と並ぶことを当たり前に捉えていますが、こういう点で賞賛の声を浴びる対象になるのにはこちらが驚かされてしまいます。
新しくオープンしたお店でもそうですが、行列の先を確認するとラーメンやうどん、そばなどその店独自のこだわりを持っている飲食店であることが比較的多いようです。
最近では若い女性同士やカップルが列を作っているところも少なくありません。
例えば、流行に敏感な街として知られる表参道や渋谷にある「幸せのパンケーキ」は、入店までに数時間を要する行列のできるパンケーキ専門店として有名です。
着席してオーダーを受けてから一枚一枚を丁寧に焼き上げるため、さらに20分ほど時間を要します。
待っている間も店内に広がる甘いバターの香りを満喫することで期待が膨らみ、「待っていてよかった」という思いが強く芽生えるのかもしれません。
また一日の販売数を限定しているため、並んで待った人だけが味わうことの出来るプレミア感が加わることによって、より一層おいしい、楽しいという感動も人一倍膨らむのでしょう。
「幸せのパンケーキ」は口に入れると溶けてしまいそうなほどのふわふわな食感で、また使用されている素材も、ニュージーランド産のマヌカハニー、北海道産の生乳から作られる発酵バターなどこだわりを持ったパンケーキなので、多くの人が魅了されるのでしょう。
このように比較的新しいお店であってもよそでは味わえない強いこだわりがあれば、多くの人が列を作り特別感を味わえるのを楽しみに待つのです。
海外旅行者の方にも是非、並んだだけの価値を見出せるお店のこだわりの味を堪能し、日本での良い思い出をひとつ増やして頂きたいものです。